元ITエンジニアのキャリアアドバイザーが語る、今注目のエンジニア系職種~データ分析関連職種編~

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元ITエンジニアのキャリアアドバイザーが語る、今注目のエンジニア系職種3選」にて、“注目の職種”として挙げられていた「データ分析関連職種」
技術革新によりビッグデータの収集・蓄積が進んでいることが背景にあるのは間違いありませんが、興味があっても今からデータ分析の畑に飛び込むのは不可能であると考えている人も多いのではないでしょうか?
まったくの未経験からデータ分析関連職種に就くことはなかなか難しいですが、あなたが今までの仕事で培ってきた知識や経験を活かして働くことができるフィールドも、もしかしたらあるかもしれません。
今回は、求人の拡大背景をさらに掘り下げつつ、「データ分析関連職種」と親和性の高い職種、ステップアップのために身につけると良い知識・スキル、やりがいについてご紹介します。

先端技術の発展に貢献できるデータ分析関連職種

―「元ITエンジニアのキャリアアドバイザーが語る、今注目のエンジニア系職種3選」の記事で、「データ分析関連職種」の求人が増えている理由を簡単にお話しいただきました。
HW機器の小型化、性能向上と価格低下、通信技術の発展、スマートフォンという新しい概念の情報処理端末やクラウドの誕生といった理由により、私たちが「ビッグデータ」を扱うことができるようになった点が一番の大きなポイントであるということはわかりましたが、ここ2~3年でデータ分析関連職種が勢いを増している理由はなぜなのでしょうか。

亀田 データ分析に関する職種、俗に言う「データサイエンティスト」が注目を集めたきっかけは、Googleのチーフ・エコノミストであるハル・ヴァリアン氏が「今後10年間で最もセクシー(魅力的)な仕事は統計学者である」と発言したことが大きく影響していると思います。
そこからアーリーアダプター層の企業がデータサイエンスに取り組み始め、2013年には日本のデータサイエンティスト協会が発足しました。当時サイバーエージェントに所属していた尾崎隆氏(現在は株式会社リクルートマーケティングパートナーズに所属)が、勉強会で講演した「21世紀で最もセクシーな職業!?「データサイエンティスト」の実像に迫る」というスライドをネット上に公表し、多くの人に拡散されたのもこの頃ですね。
そして、2015年ごろに全日本空輸株式会社や株式会社あきんどスシローなど、国内の有名企業がデータ分析により成果を出し始めました。こういった流れがあって、だんだんと他の企業も「データ分析をやらないと」と動き始めているのがここ2、3年の動きと言えますね。

―「データ分析」の領域の中でも具体的にどの職種が求められているのでしょうか。

亀田 「データ分析」は、主にBIBAの二つの領域に分けることができます。
BI(Business Intelligence)は、数字の羅列であるデータを可視化し、データの特徴を掴むことでビジネスにおける意思決定に活用する手法や技術のことです。これに対し、BA(Business Analytics)はデータの中に潜んでいる、可視化するだけではわからない因果関係を探るために使用される手法や技術のことを言います。
データ分析を始めようとする企業がまず初めに取り組みだしたのはBIでした。BIは、これからデータ分析に取り掛かろうとしている企業や、まだ始めたばかりの企業からの需要が相変わらず多いですね。実際のビジネス環境では、現場に無秩序に散在しているデータを整理・統合し、BIツールによってさまざまな角度から可視化するだけでも膨大な示唆や知見を得られるというケースがまだ多くあります。
また、比較的初期の頃から取り組んでいる企業に関しては、BIツールを使用したデータの可視化・分析はできるようになりつつあるので、次のステップとしてBAに取り掛かろうとする企業が増えてきています。そういった企業は、因果関係を探るところが主軸になりつつあると言えるでしょう。

BIで求められる要件は?親和性のある職種は?

―BIとBAで必要とされる要件は異なりますか?

亀田 まったく違いますね。BIは基盤まわり……特にデータベースまわりに強い人のニーズが高いです。
もちろん既成の製品 ― 例えば、MotionBoardやTableau、QlikView、Cognos Analytics ― に詳しいに越したことはありませんが、こういったツールは使い始めれば覚えられるので、いわゆるITインフラ基盤の知識が大変重要です。

―ITインフラ基盤の知識といっても幅広いかと思いますが、具体的にはどのような知識があると良いのでしょうか。

亀田 具体的には、データベースに関する知識をお持ちだと良いと思います。
データ分析は、データがあって初めて成立するものです。しかし、多くの企業における現行の基幹システムは、「データ分析」という概念が生まれるより前に作られているものが多いように見受けられます。具体的に分析するためには、各システムに散在しているDBから分析に必要なデータを抽出し、抽出したデータを変換・加工した上で、データウェアハウス(DWH)などの分析用DBに格納する(俗にいうETL)作業が必要になります。
また、実際の業務では、BIツールにデータを表示して分析をします。その際、データの表示に毎回何分も時間がかかっていては、現場のビジネススピードについていけません。ダッシュボードの応答速度をユーザーが業務で使用できるレベルにまで落とし込むには、データベースのチューニングをしなければならないケースがあり、データベースの知識は身に付けておいて損はないと思います。

―ITインフラ基盤の知識があると良いということは、親和性がある職種はやはりインフラエンジニアなのでしょうか?

亀田 そうですね。インフラエンジニアのなかでも、データベースのアーキテクチャを理解できることが大事だと思います。全てを一気に身につけるのは難しいと思うので、できるところから取り組んでいけると良いと思います。

BAで求められる要件は?親和性のある職種は?

―では、BAではどのような知識が必要になるのでしょうか?

亀田 BAは、統計の知識プログラミングの知識、そしてデータベース(SQL)の知識ですね。

◆統計の知識

データ分析を今第一線でやっている人たちは、もともとビジネスでデータ分析をやろうとしていた人たちではなく、研究畑でデータ分析をやっていた人が多いです。例えば理系だったら工学系、文系だったら心理学系や社会調査系で統計学をやっていたというような人ですね。データサイエンスは数学の世界です。そのため数学的な思考が好きという人ははまりやすいですし、逆に数学が苦手な人はBAの世界に足を踏み入れると行き詰まってしまうかもしれません。

◆プログラミングの知識

他の職種だとなかなかRやPythonを使う機会はないかと思いますが、データサイエンティストでは必須。SPSSのようなデータ分析を容易に行えるツールもありますが、分析モデルの細かいチューニングを行うにはプログラミングができた方が便利というケースが多いと思います。データサイエンティストを目指す人にはぜひ身につけてもらいたいですね。

◆データベース(SQL)の知識

RかPythonが必須と先述しましたが、これらの言語は日本ではまだまだ使用人口が少ないのが現状です。まだどちらも身につけられていないという場合、SQLの知識を持っているとデータサイエンティストの世界に飛び込むきっかけを作れるかもしれません。

―SQLの知識はBIでもBAでも必要なんですね?

亀田 実際の現場では、DBからの分析用データの抽出と整理が完了している状態でスタートするケースもありますが、「他の会社がデータ分析でマーケティングに成功してるらしいし、うちでも何かできないかな?」といった漠然としたオーダーを受けることも多いです。そういった場合、蓋を開けてみたらデータがさまざまなところに散在していて分析できる状態ではない……ということが往々にして起こり得ます。
そういったときにデータサイエンティストがまずやる作業は「現状把握」。先方がどのようなデータを持っていて、それはどのような形でどこに格納されていて、実際にどのようにデータを整理すればいいのか……といったところを調査します。そして、先方の目指している分析ゴールとのギャップを理解したところで、どうやったらそれを埋められるのかを考えるのです。
データ分析の作業は、データの整備・確認・下処理が全体の作業工程の6~7割を占めると言われています。データ分析を行うためには、データを正確に把握し、分析用に加工する力が大切です。データベースのアーキテクチャを理解しており、SQLが書けるということは、それができるという証明になります。

―なるほど。では、BAと親和性のある職種は何なのでしょうか?

亀田 恐らく「データサイエンティストになりたい」という人は、現在インフラ系もしくはアプリ開発の仕事をしている方が多いのではないかなと予測されます。実際に私のところに転職相談に来られる方も、そういった方が多いですが、現在どちらの仕事をしている場合でも、「データベースのアーキテクチャとSQLを勉強しましょう」ということと、「RかPythonを身につけましょう」ということをアドバイスしています。
また、「統計の知識があると良い」と先ほど述べましたが、統計検定の2級までを独学で取得しておくことをおすすめします。特に20代の方は、統計検定を持っていて、何かしらのデータをRやPythonで分析することにプライベートでチャレンジしていると、職業としてデータサイエンティストにチャレンジできる可能性は増えると思います。

コツコツ作業が多いが、やってみて初めてわかる新発見に出合える仕事

―データ分析関連職種のやりがいはどのようなところにあるのでしょうか?

亀田 私自身、もともとアナリティクス系の仕事に携わらせて頂いた経験がありますが、「やってみてわかる新発見」というのがあるんですよね、この仕事には。
データを分析していると「AとBにはこんな関係があったんだ!」という発見が必ずあります。そういう発見ができることにわくわく感を得られる人は、相性が良いでしょう。数学が好きな方学生時代に統計学を活用した研究をしていた方などは、学生時代に身につけたことを活かせる可能性があります。
アメリカでは、データサイエンティストの初任給の平均は1000万円を超えるというデータもあります。日本でもまだまだ需要は増えていく職種なので、今後も動きが楽しみですね。

(次回は、社内SEについてご紹介します)

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キャリアアドバイザー プロフィール

亀田 隆明(かめだ・たかあき)

亀田隆明

某SIer企業に新卒入社。製造業界、小売業界の大手企業に対して、ITインフラ基盤の提案、要件定義、設計、構築に携わる。SIerで働いていくなかで、IT業界で働く方々の待遇改善の一助となりたいとの想いから人材業界へ転職。現在は大手外資系SWベンダーを中心にIT業界専任の企業担当、そして、キャリアアドバイザーを兼務。

(執筆・編集:GeekOut編集部)