元ITエンジニアのキャリアアドバイザーが語る、今注目のエンジニア系職種~社内SE編~

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元ITエンジニアのキャリアアドバイザーが語る、今注目のエンジニア系職種3選にて、“注目の職種”として挙げられていた「社内SE」。
社内SE自体は昔からある職種ですが、なぜ今このタイミングで需要が劇的に伸びているのでしょうか。今の転職市場を取り巻く環境を振り返りつつ、現在求められている社内SEの人物像、どのようなキャリアパスが描けるのかについて弊社キャリアアドバイザーの亀田よりご紹介します。

理由はやはり「好景気」。時代背景を理解しつつ見極めは必要

―「社内SE」の求人が増えていると以前の記事でもお話しがありましたが、その中で「募集の背景を理解したうえで企業・求人選びを行う必要がある」と述べていたかと思います。こちらについて、もう少し詳しくお伺いできますか?

亀田 ニュースなどでも多数取り上げられていますが、現在は「いざなぎ景気」超えと言われる長さで景気回復が続いている状況です。この景気回復の流れで、日経平均株価も高水準を記録していますし、歴代最高益を出している会社も多く存在しています。

そうした状況で何が起きるかというと、企業はコストセンターにも投資をする余裕が生まれ、自社でSEを抱え開発を進めようとする動きが出てくるのです。新たなことを進めるための前向きな人員拡大をしている場合は良いのですが、中には2008年のリーマン・ショックに伴う業績悪化時にコストセンターの人員を大量に削減した企業が、再び人を呼び戻そうとしているケースもあります。どちらのパターンなのか見極めをしっかりとしたうえで、企業を選ぶ必要はあるかと思います。

―景気の変動に自身のキャリアが左右されてしまう可能性があるということでしょうか。

亀田 事実として過去に事例があるので、可能性として否定はできないと思います。ただし、社内SEという職種がエンジニアにとって魅力的な職種であることもまた否定できません。

「攻めの情シス」か「守りの情シス」か。自身のキャリアを長い目で見て、最善の選択をしよう

―社内SEがエンジニアにとって魅力的と感じられる理由は、どのような点にあるのでしょうか。

亀田 やはり、事業者視点で企業のIT戦略を考えられる点でしょう。弊社にも、SIerから社内SEへキャリアチェンジをしたいと言う転職希望者の方が多数相談にいらっしゃいますが、SIerは基本的にクライアントから依頼されたシステムを納品するまでが仕事ですので、納品後、自身が作ったシステムがどのように活用されているのか見届けられるケースは、そこまで多くありません。「作ったら終わり」ではなく、手掛けたシステムを育てていきたい、ブラッシュアップしていきたいと言う声はよく聞きますね。

また、「社内SEは安定しているから」という志望理由も、よくお伺いします。それについては、私は待ったをかけたいですね。と言うのも、私自身、エンジニアのキャリアは「積み重ね」によって育っていくものだと考えています。担当する案件によってさまざまな経験を積むことができ、技術の幅も広げられる可能性があります。
それと比べると社内SEは、社内のシステムしか扱えないため、その範囲内での成長しか見込めない恐れがあります。
社内SEとしてのキャリアを歩んでいきたいと考えている場合、自身が「攻めの情シス」と「守りの情シス」どちらの道を進むのかは、しっかりと長い目で見て考えたうえで行動を起こすことをお勧めします。

―「攻めの情シス」と「守りの情シス」とは何でしょうか。具体的に教えてください。

亀田 求人票や募集要項では「社内SE」と一括りにされてしまいがちですが、社内SEにもさまざまな役割があります。わかりやすく私は「攻め」と「守り」で表現していますが、「攻めの情シス」と「守りの情シス」では働き方が全く異なってきます。

◆攻めの情シス
・自社で開発・構築を行う、もしくは実際に手を動かさずとも技術やサービスに関する知見を使って、ベンダーコントロールを行ったりIT投資や事業企画について考えたりできる働き方

◆守りの情シス
・現在のシステムの維持・運用がメインで、開発・構築の実作業はベンダーにすべて任せる働き方

どちらも長所・短所はあるのですが、昨今のテクノロジーの進歩の速さに追いつくことができるのはやはり「攻めの情シス」になると思います。今は景気が良いので、「攻めの情シス」な立場を取っているところは多いですね。

「攻めの情シス」は、常に新しい世の中の技術トレンドを察知し、積極的に取り扱っていく必要があります。速いスパンで開発・リリースを行うWeb系の企業やベンチャー企業、自社製品を持つベンダー系の企業に多いですね。アンテナを張りつつ自身で手を動かすことも求められるケースが多いので、今後技術トレンドが変わったり、景気状況が変わったりしても何かしらの方法でエンジニアとして渡り合っていくことはできる腕を持つことができます。

また、現在は上流がメインで、自身で手を動かすことから離れている方向けに、最新の技術を用いて企業のIT戦略や企画を練る上流工程を担うようなポジションもあります。システムのリニューアル等を、主導権を握って手掛けるポジションですね。どちらも新しい技術トレンドを追い、それを自身が携わる事業に反映させていく働き方ができる点では、「攻めの情シス」と言って良いと思います。

それと比較すると、「守りの情シス」は運用・保守が主になり、自身で手を動かしたり新しい技術の導入を行うための情報収集を行ったりする必要がないので、どうしても技術からの距離は遠ざかってしまいますね。そういったところに行ったとしても、趣味などを通して自身でコードを書いたり、最新の技術トレンドを追ったりと努力を続けていけば良いですが、保守・運用のみを行う業務の中では、テクノロジーの表層しか辿れない状況に陥ってしまいがちです。「エンジニア」「技術者」という言葉の本来の意味からは遠ざかってしまいますね。

そのため、転職先を選ぶ際の目安として、気になる企業の情シス部門がどういう立ち位置なのか、社内SEとしてどのような役割を担うポジションなのかはしっかり理解する必要があると言えます。「楽そうだから」という理由で安易に選んでしまうことはお勧めしませんね。

……と、脅すようなことばかり述べてしまいましたが、もちろん社内SEにも良いところはあります。

―どのような点でしょうか。詳しく教えてください。

亀田 先ほども申し上げましたが、自分が作ったシステムが「誰に、どのように役立っているか」を実感できるのは社内SEの仕事のやりがい、良さと言える部分です。ローンチしてから利用者の声を直に聞き、改修ポイントを見つけブラッシュアップをしていくことができますので、システムを育てることができると言えます。PDCAサイクルを回しながら、より良いものを作っていく。長い目で同じシステムを見ていきたいという考えをお持ちの方には、向いているでしょう。

ですが、企業というものはやはり景気によって業績が左右され、それにより経営方針が変わってしまうこともないとは言い切れません。社内SE(情シス部門)は、コストセンターと言われる部門ですから、開発を進めていても景気が悪くなったことで計画が頓挫してしまったり、自身が人員削減の対象となってしまったりする可能性もあります。そういった際にも、「技術」という手に職を持っていれば、次に生きていく場所を見つけることができるはずです。

景気は変動するもの。いつ次に景気悪化の波が訪れるかはわかりません。魚に例えるとわかりやすいかと思いますが、穏やかな水の流れのところにいるとそこから出られなくなってしまいますよね。泳ぐ力を失ってしまうためです。
今は景気が良いのでつい穏やかな方へと流されてしまいがちですが、また「不景気」という濁流が押し寄せてきたときに、エンジニアとして押し流されない力は身につけておかないといけません。良い流れの時はついそれに乗って楽をしたくなってしまいがちですが、いつ来るかわからない引き潮の時にどうやって生きていくのか、そこのリスクはよく考えて転職活動をされることをお勧めしています。長い目で見て最善の転職先を見つけていただければと思います。私たちもそういった転職のお手伝いをしております。

―目先の利にとらわれず、自身のキャリア設計をしっかりと描いて、それに合った職種を選択すべきということですね。ありがとうございました。

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キャリアアドバイザー プロフィール

亀田 隆明(かめだ・たかあき)

亀田隆明

某SIer企業に新卒入社。製造業界、小売業界の大手企業に対して、ITインフラ基盤の提案、要件定義、設計、構築に携わる。SIerで働いていくなかで、IT業界で働く方々の待遇改善の一助となりたいとの想いから人材業界へ転職。現在は大手外資系SWベンダーを中心にIT業界専任の企業担当、そして、キャリアアドバイザーを兼務。

(執筆・編集:GeekOut編集部)